2025-07-27#短編小説

通り道 7

目を覚ますと、木目の天井が見える。僕は布団の上にいる。薄いブランケットが肩までかかっている。帰り道のことは覚えていない。遠くで鳥の声がする。窓が開いていて、カーテンを風が揺らす。やわらかい朝の光が隙間から入ってくる。

身体を起こすと、頭ははっきりとしている。テーブルにはメモが置かれている。

「鍵はポストに入れておいて。朝ごはんは冷蔵庫から勝手にどうぞ」

伯母の字で手早く書かれている。窓の方を見ると、雲の間から朝日が見える。

僕は荷物をまとめて一階へ降り、身支度をする。冷蔵庫から麦茶とおにぎりを出して食べる。少し迷ってから、伯母に一言を残す。そして玄関へ向かう。

靴を履いて引き戸を引く。軽やかに戸は開く。涼しい朝の空気が、風となって頬を撫でる。

静かに引き戸を閉め、ポストに鍵を落とす。カチャリと音がする。空を見上げ、深く呼吸をする。そして通りを一歩ずつ進んでいく。



夏木 絃

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